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Archive Warning:
Categories:
Fandoms:
Relationships:
Characters:
Language:
日本語
Stats:
Published:
2019-03-10
Words:
3902
Chapters:
4/?

Cupid

Entire Work

Work Text

少女たちが、突然倒れたソラを取り囲んで騒いでいる。エクシは、マネージャーと救急に連絡しなければ、と素早く電話を取り出した。「オンニ、起きて」
『彼女』は誰よりも不安と心配で切羽詰まっていたが、メンバーにはそうと悟らせまいとソラに声をかけていた。
「オンニ、オンニってば」やっと繋がったわ。
エクシが足を止めて状況を報告する。
「もしもし?ヒョンジョンが倒れました。もう救急には連絡してあるので、直接ソウル病院に向かってください」数分後、救急車が到着し、ソラが運び込まれるのを横目に見つつエクシが口を開いた。
「付き添えるのは私を入れて2人よ。何か分かり次第連絡はするようにするから、他のみんなはここにいて。誰が来る?」みなが口々に同行を申し出る。その騒々しさはさながらオークション会場のようだ。周りを見渡すエクシの視線が、心ここに在らずといった様子で立ち尽くす『彼女』を捉えた。
リーダーは咳払いを一つして告げる。
「ジヨン、一緒に行きましょう。みんなもそれで良いわね?」全員が頷き、ボナの方を向いたが、彼女自身は何も耳に入っていないようだった。
となりにいたダヨンが彼女を軽く小突く。「ええと、どうしたの?」
「ソジョンオンニが、一緒に病院まで付いてきて、って。マネージャーさんもすぐに着くそうよ」
「わ、分かったわ。上着を取ってくるから少し待ってて」ボナがそう言って部屋を出ていくと、ダヨンが堪らずエクシに尋ねる。
「オンニ、ヒョンジョンオンニは大丈夫かな?」
「もちろん大丈夫よ」
と、エクシがなだめるように答えた。
「じゃあみんな、早く寝るのよ。明日の朝までに状況は連絡するから。戸締りは忘れずにね」ボナが上着を手に戻ってきて、少女たちは揃って年長組の見送りに立ち上がった。 ─その光景を、陰から見ている夫婦がいた。キューピッド、あなた、作用を強くしすぎたんじゃないかしら。あの子、倒れてしまったわよ。いいやプシュケー、違うんだ。僕はいつも通りに矢を放ったんだけれど、上手く刺さらなくてやり直す羽目になったんだよ。それに、どうしてか彼女はそれに抵抗したんだ。なぜだろう?まあ、今はちゃんと効いていると思うよ。彼女のパートナーを見てごらんよ、ひどく動揺しているじゃないか。
彼女たちを結ぶのが僕の仕事だってことは知っているだろう?だってあの2人は、運命の赤い糸で繋がっているんだからね。僕たちみたいにさ。そうね、もちろんよ。あなたと私を巡り会わせてくれたお母様には感謝しているわ。
これで上手くいかなければ、もう一度試してみなくちゃならないのよね?まずは一旦様子を見ましょう。他にもやることはたくさんあるわ。そうだね。じゃあ、行こうか。ええ、愛してるわ。

----- CHAPTER BREAK -----

─16年前─走り回って遊んでいる子供たちの声が聞こえる。ベンチに1人の少女が座っていた。アイスクリームが溢れて手や服を汚さないように、と慎重にそれを食べている。彼女は、電話をかけるためその場を離れた母親を待っているのだった。
数分後に戻ってきた母親は、少女の隣に腰を下ろすと満面の笑みで問いかけた。
「ジヨニ、ソウルメイトが何か知ってる?」
少女が興味を惹かれて聞き返す。
「おかあさん、なあにそれ?」母親は笑顔のまま続けた。
「ソウルメイトっていうのはね、その人を一目見た瞬間に、『ああ、自分はこの人と一緒に一生を過ごすんだ』って分かってしまうような人のことなの。その人を、子供の頃に見つけられる人もいるし、目の前にいるって気付かずに、そのサインを見逃してしまう人もいる。中には、ソウルメイトに出会えずに、違う人と結婚してしまう人もいるわ。何年も待ち続ける人もね。だけどね、どんなに長いこと待ったとしても、ソウルメイトと巡り会えた瞬間に、それがひとつも無駄なことなんかじゃなかったって分かるの。だから待ち続けなさい、わかった?忍耐力を試されているように感じたとしても、焦ったり諦めたりしてはいけないのよ」少女は、いまだ幸せそうに微笑み、その言葉一つひとつを噛みしめるように語る母親を見ながらこくりと頷いた。
母親はそんな彼女の頭を撫で、2人はしっかりと手を繋いで家へ帰るのだった。

----- CHAPTER BREAK -----

ヒョンジョンとジヨンの服を選び終えると、ソジョンはマネージャーの運転で再び病院へ戻った。「じゃあ、行ってきます。すぐに戻りますから」ソジョンはマネージャーにその場で待っているよう頼むと、ヒョンジョンとともに一晩を病院で過ごすことになるジヨンに荷物を渡すため、一人で病室へ向かった。もちろん、帽子とマスクも忘れずにつけている。病室に続く廊下を進みながら、私ってば、なんて天才なのかしら、とソジョンは薄く笑った。彼女は服を選んでいる間、ジヨンがヒョンジョンと一緒に病院に残れるようマネージャーをどうにかしようと考えていた。そして実際、彼を説得することに成功したのだった。普段よりも強引な彼女をマネージャーは訝しんだが、とにかく、彼の同意は取り付けてある。ソジョンはそのときの彼の複雑そうな表情を思い出したがすぐに記憶の底に押しやり、病室へと足を速めた。ようやく病室へとたどり着き、そっとドアを開く。そこで目に入ってきた信じがたい光景に、彼女は思わず口を大きく開けてしまった。こんな珍しいものを見るなんて想定外だわ。ジヨンがヒョンジョンの手を握って眠っているなんて。これは見逃せないわね。彼女は電話を取り出し、それがマナーモードになっていることを何度も確認した。知らず知らずのうちに口角を上げながら、何度もシャッターを切る。ジヨンの顔と繋いだ手が映っているもの、後ろから撮ったもの、そして指を絡めた2人の手だけのもの。写真を撮るのに満足すると、彼女は少し考え込んだ。今ここでジヨンを起こしてしまえば、自分がこの光景を目にしたことが彼女にバレてしまう。そうだ、どうにか鍵を閉めた状態で一度外へ出て、たった今到着したことにしよう。彼女のことはノックで起こせばいい。エクシは彼女を起こしてしまわないように細心の注意を払ってなんとか外へ出ると、ドアを強めに叩いた。狙い通りにジヨンが目を覚ます。彼女は起き上がり、眠たい目をこすろうとしたが、何かに驚いたようにぴたりと動きを止めた。まだヒョンジョンの手を握っていたことに気付いたのだ。彼女の顔はみるみるうちに真っ赤に染まった。彼女はそっと手をほどくと、ノックの続くドアへと向かう。鍵を開けると、真面目な顔をしたソジョンと目が合った。ジヨンはたじろいだが、実は彼女は笑いをこらえるのに必死なだけであった。「ジヨンオンニ、ノックの音が聞こえなかったんですか?10回はしたんですけど」「ごめんね、ソジョン。寝てしまっていたみたい」彼女は、ソジョンがすでにそれを知っているとは知らずに、『そのこと』を伏せて答えた。だれにも知られちゃだめよ。少なくとも、今はまだ。「それで、着替えはどこなの?」「これよ」ソジョンが2つの鞄を机に置く。「2つも?どうして?」「マネージャーさんが、今夜はあなたもここに残りなさい、って。だからヒョンジョンオンニの着替えの他にタオルやブランケットも持ってきたの」彼女はそう答えると、私に感謝してよね、と心の中で付け足した。「それで、あなたはどうやって帰るの?」「マネージャーさんが車で待ってるの」「それなら、早く戻らないとね。彼が怒るといけないもの。玄関まで着いていきましょうか?」「大丈夫よ、1人で戻れるわ。じゃあ、また明日。早く休んでね」そう言うとソジョンは彼女に微笑みかけ、静かに部屋を後にした。ジヨンは知らないうちに息を止めていたことに気付き、大きく息を吐く。そうして、鞄から取り出したスウェットパンツとパーカーを手に、洗面所へ向かった。 私に感謝してよね、本当に。彼女は眠っているけれど、2人きりの夜には違いないわけだし。ソジョンは眠気に抗いながら、マネージャーの待つ車まで急いだ。

----- CHAPTER BREAK -----

彼女がアラームの音で目を覚ますと、初めに視界に入ったのは真っ白な天井だった。部屋を見渡し、同じように白い壁に囲まれていることを確認する。左手の窓は開いていて、新鮮な空気が流れ込んできていた。そう、ここは病院なのね、と彼女がようやく気付く。ふと、長椅子に誰かがいるのが見えた。長く美しい髪だけがのぞいている。ヒョンジョンはゆっくりとベッドから起き上がると、自分とともに一晩残ってくれた「彼女」に近づいた。彼女を揺り起こそうとしたちょうどそのとき、彼女が寝返りを打って、その顔が露わになった。ヒョンジョンが思わず一歩後ずさる。そこにいたのは、彼女が倒れたときもずっと彼女の名前を呼び続けてくれていたジヨンだった。その唇が、まるでキスを誘っているかのように思えて、ヒョンジョンは彼女を見つめてしまう。なぜこんなことを考えているのだろう?心臓がドクドクとうるさく鳴っている。本当に、こんなことって今までにあったかしら? ともかく、彼女を起こして、自分が目を覚ましたことを伝えなければ。ヒョンジョンは、もう一度寝返りを打って背中を向けたジヨンを優しく叩いた。「ジヨン、起きて」その聞き慣れた声で彼女が目を開ける。そうしてあまりにも素早く起き上がったので、二人の顔が一気に近付いた。ジヨンの顔を目の前にどうしたらいいのかわからなくなったヒョンジョンが凍りつく。しかしその視線は彼女の唇に釘付けだった。30秒ほど経って、先に意識を取り戻したのはジヨンだった。咳払いをしてヒョンジョンに尋ねる。「起きたのね、オンニ。気分はどう?」そうしてヒョンジョンもようやく我に返り、ベッドに腰掛けた。「大丈夫そう。ええと、どうして私が倒れたのか知ってる?」「いえ、お医者さまは、ただの疲労だって仰ってたわ。体の方には何も問題はないって」ジヨンが髪を結びながら続ける。「それに、今日か明日には帰れるそうよ。昨晩はソジョンもいたのだけれど、マネージャーさんに言われて宿舎へ戻ったの。あとでみんなと一緒に来るかもしれないわね」彼女の言葉を聞くのもそこそこに、ヒョンジョンは髪を結ぶその姿をじっと見ていた。ジヨンは自分が見つめられていることに気付き、その表情がなんとも切なげに感じられて、普段はこんなことなかったと思うのだけれど、と心配そうに言った。「オンニ、本当に大丈夫なの?」「え、ええ。もちろんよ。ところで、何か食べるものはない?お腹が空いてしまって」ヒョンジョンが話題を変える。「下で買ってくるから少し待っていて」ジヨンはすぐに靴を履くと部屋を後にした。

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